愛を込めて極北
 「それにしても暁ったら物好きね。いくらいつもそばにいるからって……。ま、高嶺の花より何とやらっていうのは、世の常だけれども」


 侮蔑と嘲笑の繰り返しで、副社長は私の業務妨害をする。


 「……で、要件は何でしょうか」


 うんざりした表情で、副社長に告げたところ、


 「いつまで続けるの?」


 「え?」


 「いつまでここでお手伝い続けるつもり? 普通だったら婚約者であるこの私に真相を知られて、もう居づらいとは思うけど」


 「……ご迷惑でしたら、今日を限りに辞めても構いませんが」


 「それだと私があなたを追い出したのが見え見えで、印象悪いし。それに正規の労働契約ではないにせよ、業務の引き継ぎとかあるでしょ? 区切りのいいところまで仕事を片付けてから、にしてくれたほうが、私としても助かるんだけど」


 ……遅かれ早かれ、私はこの事務所を去らねばならないようだ。
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