愛を込めて極北
***


 それから数日は、何事もなく今まで通りの毎日を過ごしていた。


 朝起きて仕事に行って、仕事が終わったら夜は趣味サークルなどに出かけ、あっという間に時間が経過する。


 あの日一日は、たまたま珍しいことが相次いで発生しただけで。


 これが通常の24時間であり、これからもこうして毎日生きていくんだと信じて疑わなかった。


 数日後の夜。


 テニスサークルの活動を終え、お風呂に入って帰宅して、落ち着いたらパソコンからFacebookチェック。


 「ホーム」をクリック。


 「友達」として繋がっている人たちの最近の投稿が、ずらっと表示される……。


 一番上に出てきたのは、かのチーズ工房経営・東さんの投稿だった。


 新製品発売のPR。


 常温で長時間持ち運んでも大丈夫な製品で、登山などで遠出する際なども栄養補給に役立つとの宣伝。


 「いいね!」をクリックし、「美味しそうです。機会があれば私も食べてみたいです」とコメントを添えた。


 是が非でも食べてみたいって程ではなく、あくまで社交辞令の範疇で。
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