愛を込めて極北
六月の花嫁
***


 楠木にきっぱり別れを告げ、事務所も辞めてしまったあの日以来。


 私には以前の毎日が戻ってきた。


 会社に行き、帰宅後は週に数度テニスサークルで汗を流す。


 その合間に英会話スクールにも。


 曜日によって定められた毎日が、静かにゆっくりと過ぎていく。


 約半年ほど、楠木に会って別れるまでの期間のドタバタなど一切幻だったかのような、平凡な日々。


 ただ、あまりに穏やか過ぎると、「何かしなくては」って衝動というか心の焦りに襲われるので。


 テニス仲間や学生時代の友達が主催する集まりや飲み会に、積極的に顔を出すようにした。


 そして合コンにも……。


 そこそこの学歴があり、現在も大企業に勤務している友人主催なので、集まる男性も高学歴で安定した収入を得ている人ばかり。


 私なんかで大丈夫なのかと参加する前は緊張したけれど、いざ始まってみると意外と好感触。


 連絡先を交換したり、今度この日集まったメンバーでどこか出かけようって計画も。
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