愛を込めて極北
 ……。


 「67番の方、いらっしゃいませんか~?」


 「美花ちゃん、67番じゃない? うちの子が66番だから」


 あれこれ考えながらぼーっとしていたところ、東さんに呼ばれてはっと我に返った。


 いつしか抽選会が始まっており、小冊子に書かれている数字の番号で当選者が決まる。


 慌てて小冊子の数字を確認すると……67番!


 「あ、当たりました」


 挙手し立ち上がると、司会者から壇上に呼ばれた。


 賞品は楠木暁本人から手渡されるという。


 「プレゼントはスポンサーでもある東工房様から提供された、携帯食セット!」


 一箱一杯に詰められた、普通にお店で買えば数千円もするありがたい賞品だけど。


 いつも直接いただいて食べているものだから……こんなところで当選してしまうのも微妙。


 「あれ? この前写真展で……」


 賞品を受け取る際、さすがに楠木暁も気付いたようだ。


 「はい……。本日は東さんの紹介で参加させていただきました。東さんとは家族ぐるみのお付き合いをしておりまして」


 「そうだったんですか。そんなご縁があったのですね。これからもよろしくお願いします」


 極上の笑顔で。


 彼は私に、賞品を手渡した。
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