愛を込めて極北
 ……。


 「ねえ桜坂さん。これから土日の空いてる時だけ交替でボランティアしない?」


 「ボランティア……ですか?」


 コテージ二階部分が女子部屋で、三人しかいないため広々利用できた。


 トークタイムを終え、23時の就寝時間に向けて部屋に戻る。


 寝る準備をしていたところ、年長の響さんに誘われた。


 「私、六月に結婚するんだよね。それに向けて忙しくなるから、後釜探してたの」


 「そうだったんですか。おめでとうございます」


 響さんは本業は学校の先生だけど、時間が取れる際は北広島の楠木の自宅兼事務所に何人かで集まり、運営のお手伝いをしているようだ。


 「ファックスやメールの管理とかだから。誰にでもできる手伝い」


 楠木の活動に興味があったりサポートしたいと思う人たちが、自分の仕事の合間に交替でお手伝いをする。


 ただし副業を禁じられている場合が多いため、アルバイトとすることはできないので、みんなボランティア扱い。


 響さんもできる範囲で手伝いを続けていたものの、結婚という人生の節目を迎え、今後は今までのようにはいかなくなるとのこと。
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