☆゚+. 〈BL〉隣人を愛す〈短編〉 ゚+.☆
別れ話は難航中 〈side・晄慧〉
今日は冬休み明けの
最初の登校日だ。

さて、どうやって
別れ話を持ち出すか……

新学期が始まる日も
家を出る時間帯も違うため
年が明けてからは一度も
心羽と会っていない。

好きだと自覚したら
無性に会いたくなった。

だが、小絵と別れない限り
どうしようもない。

だが長々とするのはよくないよな。

そう思っていたのに長引くとは
この時は思いもしなかった……

*:::*:::*:::*:::*:::*:::*

三学期が始まった日の放課後
俺は小絵に別れ話をした。

しかし、
小絵は“別れない”の一点張りだ。

“好きな人ができた”
と言っても信じようとせず、
俺の“別れてくれ”と
小絵の“別れない”の
攻防が場所問わずに
繰り返されていき
いつの間にか終業式。

明日から春休み。

終業式から帰ってくると
偶然、心羽と会った。

『晄慧さん!?
お久しぶりです……』

視界に入れたら抱き締めたくなった。

マンションの廊下で俺に抱き締められ
吃驚しながらも、きちんと
挨拶をするあたりが心羽らしい。

『久しぶり……
話があるんだけど、今大丈夫か?』

『大丈夫ですよ』

心羽の返事を聞いて
俺の部屋に連れて行った。

*:::*:::*:::*:::*:::*:::*

『紅茶でよかったか?』

『はい、ありがとうございます』

さて、話があるとは言ったが
どれから話せばいい?

ウジウジ考えても仕方ないか(苦笑)

『心羽』

『なんですか?』

紅茶のカップをテーブルに
置きながら顔を上げた。

『俺は、お前に伝えたいことと
謝らなきゃならないことがある』

『…………何ですか?』


『まずは謝罪から。
心羽でヌいた……』

俺の言葉に心羽が数回瞬きをした。

『それから、
伝えたいことは……
心羽を愛してる』

いまだに小絵と
別れられない状況だが
どうしても伝えたかった。

『僕でヌいたっていうことは
“愛してる”もそういう意味なんですよね?』

目を反らしながら頷いた。

あの時は自分でも驚いたが
心羽に会ったら確信を持てた。

俺は心羽を愛してる。


『だとしたら、
遠慮なく言わせてもらいます、
僕も晄慧さんを
そういう意味で愛してます』

心羽の言葉に今度は
俺が数回瞬きをした。

両思いだったんだな。

『ただ一つ問題が残っているんだ……
小絵が別れてくれないんだ』

二週間弱しかない春休みの間に
どうにか、小絵と
話をつけなくちゃならない。

『待ってますから四月から
晄慧さんの恋人にしてください』

これは頑張らなきゃな。

『あ、でも長引くようでしたら
僕を連れて行くっていう手もありますよ?(笑)』

え……

『僕は既に晄慧さんのものですが、
晄慧さんを僕のものにしたいですから』

自分のものにしたいとか
可愛すぎるだろう❢❢

だけど……

『俺はもう、心羽のものだ』

だからこそ、早く小絵と別れたい。

『三月中に
別れられなさそうだったら
心羽を連れて行くけどいいんだな?』

『勿論です』
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