レンタル彼女の愛し方
───あの頃の私とは、もう違うんだ。
ニコニコ笑いながら彼の一歩後ろを歩くような、大人しかった私とはもう違う。
「私のこと、覚えてますか?」
周りの女の視線が痛いほど伝わってきたけど、引き下がるわけにはいかなかった。
「えっと…?」
なのに、当の本人はいきなり現れた私にぽかんとした表情を浮かべている始末。
…まぁ、分からないのも無理はないかもしれない。
お化粧のやり方すら分からなかった当時と比べると、今の私は大分変わってしまっているだろうし。
「篠宮ですよ。篠宮凛華」
「…っ!り…、篠宮?」
やっと私の見たかった表情を浮かべてくれた彼は、恐らく一瞬私のことを名前で呼びかけた。
周りのこともあって、そこは咄嗟に苗字で呼んだみたいだけど。