レンタル彼女の愛し方
「その節はどうも。私今総務部で受付をやってるんですよ」
淡々とした口調で話す私に、濱田課長は未だに驚いている。
それもそうか。元カノがいきなり現れるだなんて思ってもいなかっただろうし。
まぁ、"元カノ" と認識されていたらの話だけど。
「相変わらずカッコいいですね、濱田課長。惚れ惚れします」
「……っ、」
にこにこと笑って、そっと近づく。
彼のスーツからはほんのりタバコの匂い。
周りの女の睨みなんか気にも止めず、私はスッと彼のネクタイに手をかけた。
「ネクタイ、歪んでますよ」
元々真っ直ぐに締めてあったネクタイに、無駄に触れる。
キュッと締めたふりをして微笑めば、彼は "初めて" 私の前で顔を赤らめた。