ようこそ!!青蘭高校へ!!
慌てて藤崎の後を追いかけた。


歩幅が違い過ぎて追い付くのが必死!!



「藤崎… 待って… 」



ピタリと止まってくれた。








気のせいか少しゆっくり歩いてくれてる気がする。


何も話さず2人で校舎を歩く。



「きゃーー!!先輩ーー!!こっち向いてーー!!」


へ?



「藤崎せんぱーーい!!もう帰るんですかーー?」


「藤崎先輩だーー!かっこいいーー!!」



うわ!うわ!


すごくいろんなところから声が!!


声をかけられるたびに藤崎は手を振った。


まるで政治家のように…



でも…



「太輔せんぱーーい!!手を振って~!!」







「太輔先輩ーー!!」








無視してるよね?



完全に。



そんな中、すれ違う2年生たちの会話が聴こえてきた。


ヒソヒソ声が…



「『太輔』って呼んじゃいけないの知らないんじゃない?」

「ああ、絶対返事しないのにな… バカな1年」


え… ?



『太輔』って呼んじゃダメなの?



変なの… 何で??



ん?でも、藤原先生は呼んでたよね?



『太輔』って…



「おい、早く来い、時間ないぞ」



あ…



「うん… 」



駐輪場に着き、ヘルメットを渡された。



素直に被ったけど…



「はぁ~… また気持ちの悪い時がきた… 」



正直、バイクって苦手。


スピード怖いし、揺れて振り落とされたらって考えちゃう。



「しっかり掴まってろよ」



はいはい…



よし!目を瞑って我慢!!




いつも通りに走り出した藤崎。



でも…









あれ?



… 気持ち悪くない?



何となく朝のスピードとは違う気がする??



そんなことを思ってるうちに藤崎行きつけのバイク屋さんに到着。



たくさんのヘルメットを店員さんに出してもらった。



「どうしようかな?赤も可愛いし、ピンクも捨てがたい」


「でも、この黄色もすごく可愛いし… 」



う~ん…



本気で悩んじゃうよ。



とりあえず、被っては鏡を見てみる。



「どうしよう… 」









「黄色… 」




え?




黄色?




藤崎の小さな声が気になり、手に持っていた黄色のヘルメットを再度被った。




黄色か…




うん… いいかも。



明るくて元気になりそうなカラー。



「うん!私、これにする!!」



藤崎にVサインで報告した。



お店のサービスで名前も入れてもらえた。



『SARA』と。



「ありがとうございました~♪」



あれ?



「ねぇ、お勘定は?」








藤崎 無言…



どうやら 藤崎が払ってくれたみたい。



「ねぇ、さっきもスピード落としてくれた?」




すると藤崎がフッと笑った。




それは、私が初めて見る藤崎の笑顔だった。



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