ようこそ!!青蘭高校へ!!
◆ 太輔・side ◆














「… あるからして、この公式に当てはめる… 池谷!」


「えーー?俺っすかーー!?」













簡単だろうが… 何でわかんないんだよ…




「え~?わかんないっすよ、ヒント!!」

「バカ者!これぐらいわからなくてどうする!!」



… っ!!




くっ…





「藤崎」




え?




「この公式… ん?なんかお前、顔色悪くないか?」




ドキッ…










ヤバイ… 普通にしてないと…




「いえ、大丈夫です… その公式は… 」




完結的にわかりやすく説明し答えも導いた。


これで 大丈夫だろうと言うくらいに。


案の定、先生の顔がにこやかに、クラスメイトも羨望の眼差しで俺を見てくれた。




良かった…




気づかれて… ない。




「お前、具合悪いんじゃない?」




ドキッ…




「え?別に… ?」




ヤバイ…



気づいた?




「… 本当か?」




みつの奴…



疑ってるかも…




「大丈夫だよ、ほら この通り」



何もないように満面の笑みでみつを見た。



本当はズキズキと痛むくせに…



「… ならいいけど… 仲間なんだからさ、言えよ、ツラくなったら」









仲間…





嬉しいけど…




俺にはそんな価値はないんだよ、みつ。




「ありがと、本当に大丈夫だよ」










「ん、わかった。でも、ヤバかったら言えよ」


「ああ… わかった」




みつは、昔からこんな俺なのに気にかけてくれる…



グズの俺に…




「そう言えば、森の奴どうしたのかな?いつもなら 何かしらん現れるのに」



そう言えばそうだな…



いつもなら 何かを貸してくれだの、ココがわからないだの顔を出すのに…



俺とみつは同じB組。森は隣のクラスでC組。


この青蘭高校は少し変わっていて、偏差値別などせずに高いも低いも関係なく切磋琢磨する教育方針。


だからA組だからと言って偏差値が高いわけではない。


だから… わからないゆえに短絡的に選んでしまった。




『男女とも A組、出席番号1番』




「それにしても 今年の1年は面白い奴が多いよね」

「でも、出席番号は意外に当たりだったよな」




面白い奴…









「廉耶といいさ… 元気がいいよな」








「とくに沙良なんか お前に刃向って… 」


「俺、トイレ行ってくるわ」




ガタッ…









「… ん、行って来い」
















ザワザワ…





ザワザワ…




「藤崎せんぱーい!!」









ウザイ…





「藤崎く~ん!!」





構うな…






ズキン…






ズキン…






「俺に… 」





バタン!!









ズル… ズルルルッ…





ペタン…





「構わないでくれよ… 」





こんな…





「最低な奴なんだから… 」





ズキン…





「ぐっ… ぇっ!!」





ジャーーーーー…





「お… ェッ… 」





ジャーーーー…





誰も聞かれないように流しながら 何も入ってない胃から液体を吐く…



じっとし… 吐き気と痛みに耐えながら心を落ち着かせる。









『太輔君』









優しい声を思い出し冷静さを取り戻した。










「はぁ… 治まってきた… 」









「俺… 」





「いつまでこんなことを繰り返すのかな… 」











「早く… 大人になりたい… 」





綺麗に流れた水面をぼーっと眺めて ただ何もせず立ち尽くした。





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