ようこそ!!青蘭高校へ!!
窓側で椅子にぐったり座り、目を閉じてじっとしてる藤崎。







トラウマ… 心的外傷ストレス障害?



一体どんなことがあったのかな?



冷たい瞳の奥… 怒りの中に悲しみがあるのかもしれない。



だってすごく あの声が… 悲しげに聴こえたから。








『太輔』





自分の名前が嫌いだなんて…




「でも、藤原先生は呼んでましたよね?」



ボソッとみつ先輩に言った。



「… 一樹は特別」



特別?



「従兄弟なんだ」



従兄弟!?



「そうなんだ… だから呼び捨てに」



今度は項垂れてる藤崎を見た。




本当に辛そう…



何とかしてあげたいな…




「私、ちょっと出てきます、すぐに戻りますから」



パタパタと生徒会室を出てある場所へ向かった。



誰もいない学校の食堂。



その一角に煌々と光る自販機の列。




「えっと… 元気の出るやつ… あった!!」

「やったぁ~!今日は売り切れてなかった~!!」



チャリチャリ…



「70円~♪安!!」



ピッ…



ガコン!!



「よし!!これで元気が出る!!うしゃ!!」



安いけど きっと元気になる。


ゲットし、生徒会室に急いで戻った。



藤崎は、まったく同じ格好でぐったり窓にもたれていた。




「藤崎」




反応無し。




そっと手を取った。




「… 何?」




冷たい手…



「はい」




買ってきた物を手に持たせた。


でも、それを見つめるだけで飲もうとはしない。



「これ飲むとね、幸せな気持ちになれるんだよ」


「… 幸せ?… こんなんで?」









「うん、なれるんだよ、コレがさ!」



にっこり 微笑んだ。



「ほら、ストロー刺してあげるよ!飲んで!!」



ぷすっ。



「はい!!藤崎!!」



手に持たせ、口にストローを持って行った。










ごくっ… ん。





飲んだ!!





「あま… これ、めちゃ甘い」



あは!!



「そりゃそうだ!いちご牛乳だもん!」



でもね、このいちご牛乳は特別なんだよ。


病院に行くと必ず飲むのが この甘いいちご牛乳。


お父さんと私だけの密かな楽しみなの。



「… 甘い」




文句を言いつつもちょっとずつ飲む藤崎。




「全部 飲むんだよ」




頭をなでなでして 皆が作業する方へ行った。




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