ようこそ!!青蘭高校へ!!
◆ 太輔・side ◆


嬉しそうに俺の顔を見てる。



わくわくしたその顔…



「ねぇねぇ、藤崎ってば!!」



カウンターから身を乗り出してまでも聴いてくる。


カニクリームコロッケの感想…



「… まだ 食べてないって」


「早く食べてよ!ねぇねぇ!どうかな?」








サクッ…




うわぁ… サクサクだ…




完璧に揚げられた中から 柔らかくとろりとしたクリームが湯気と共に出る。



美味しいそうだ…




でも… ダメだ…











さらに小さくカットしよう…






ぱくっ…





もぐもぐ…





「美味しいよ… 」


「やったぁ~!!えへへへ~♪」



嬉しそうにガッツポーズしてた。



「いっぱい食べてね!!」




いっぱい…




食べれない…




最近、胃の具合が良くない…


気づかれないようにすべて完食していたが…


揚げ物はやはり手厳しい。


一口食べただけで キリキリし出した。




でも…




沙良が作ったもの… 食べなきゃ…










ガラガラガラ…




「こんばんは~ 」



!!




来た!!




神崎!!




奴の顔を見ただけでさらに痛みが増した。


俺の顔を見て 鼻で笑うと奥のテーブルへ。


森たちも奴をジッと見つめた。




「神崎先輩!本当に来てくれたんですね!ありがとうございます!!」




沙良が大喜びでカウンターから飛び出し、神崎の元へ。




「当たり前だろ、沙良が俺の教室来てくれたんだから」




奴も爽やかな笑顔だ…



この笑顔の裏にどんな顔があるんだろうか…




「えへへ!!何にしますか?」



可愛い声で奴に話しかける沙良。



増々 胃が痛みだす。



「おじさんのあれが食べたいな♪俺、大好きなんだよ」



おじさんのあれ?



「ごめんなさい… お父さん 今 入院してて… 」


「え?そうなの?… じゃあ 誰が作ってんの?」



神崎が俺たちのいる方を見た。



「お母さんと私で… 」


「そうなの!?すごいな!じゃあ、沙良の得意なやつでいいよ」



沙良の得意なやつ…



まさか…



目の前のものを見た。









「はい!!待っててください!!」




沙良はぺこりとお辞儀して厨房に入って行った。



そして 楽しそうに作り始めた。




そう…




たぶん、俺と同じカニクリームコロッケを。




「今のところ普通だな」



みつがボソッと奴を見て言った。



「ああ… 」



沙良が嬉しそうに作ってる間は一安心。




側に行った時にまた気を付けないと…




ん?




神崎がスマホを触りだした。




そして…





「ああ、俺、メシ食ったら行くわ… うん、でさ~、次のターゲット見つけた」




ターゲット… ?




「はは… ああ、可愛いぞ、え~?わかった、わかった 撮ってくよ」




可愛い… ?



撮ってく?




「うん、そう いつも通りにするさ… じゃあ、後でな」




神崎は沙良をチラリと見るとクスッと笑った。




その嫌な笑いになんだか胸騒ぎがし出した。



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