ようこそ!!青蘭高校へ!!
◆ 太輔・side ◆


気づくと沙良が隣にいる。




いないとかえって心配?




いや… 違う… 何て言えばいいんだろう、この感じは。



みつに抱きついた時、嫌な気分になった。



ムカムカするような… なんだ?この変なモヤモヤの気持ちは…




「何かの病気かな… ?」




胃が悪いせいかもしれないな…


そんなことを湯船に浸かりながら考えていた。




ちゃぷん…




「明日… 検査… 町医者じゃないよな… 」



たぶん、あの病院だ…



一樹の手紙と一緒に入っていたお金。



最後の文章には…




『 保険証は使わないで受けろ。ただし、実費になるから請求は高い。余分に入れておくから使え。あと、受ける時は偽名で 』



偽名…




その方がいいかもしれない。



でも、あの病院なら誰かの目に留まるかもしれない。




「はぁ~… 」











「父さん… 元気かな… 」




じわっと目が熱くなってくるのがわかる。


父さんのことを考えると自分の親不孝さに涙が出そうになる。




「帰らなくてごめんなさい… でも、俺… まだ帰りたくない」




ううん、帰りたくても帰れない…



自分の足で立てるようになるまで戻りたくないんだ…




「ごめん… 父さん… 」




本当にごめんなさい…


















「の… のぼせたかも… 」




浸かり過ぎてクラクラする…




「よいしょ… っつ!!!」


「いてっ!!」




あ…




血が…




昼間 包丁で切った傷がパックリ割れ、じわっとまた血が出てきた。


お湯で絆創膏が取れてしまったらしい。




「結構 深く切れていたんだな」



傷口を舐めながら浴槽を出た。



「やば… 止まらないかも… 」



お風呂で体温が上がってるせいか血がゆるい。


とりあえずタオルで押さえながら着替えた。



「ふぅ~… 手が使えないのって不便だな」


「絆創膏もらわなきゃ… って、暗い… 」




さっきまで灯りが付いてたのに すっかり消され リビングは真っ暗だった。




「もう寝たのかよ… 早いな」








「どうしよう… コレ… 」




タオルで押さえた指。



このまま寝るしかない?








「あ、そっか!次、沙良が風呂だから ついでに救急箱出してもらえばいいんだ」




俺は、静かに2階に上がった。




えっと…




「あ、ココだ」




たぶん この部屋。




微かに漏れる部屋の光。




俺は、ドアを軽くノックした。




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