愛しの残念眼鏡王子
「俺、こんなだから頼りないかもしれないし、香川さんに迷惑かけちゃうことも、いっぱいあると思う。でも香川さんのこと好きなんだ! これから先もずっと一緒にいたい。……結婚して一緒に会社を継いで、この町で俺と一緒に暮らして欲しい」


信じられなくて、でも嬉しい言葉に涙が零れ出す。

そんな私に専務は、最後にもっと泣けちゃうようなことを言った。


「必ず幸せにするから。……だから俺、香川さんにとって、たったひとりのヒーローになってもいいかな?」

「……っ!」


なんてズルイ聞き方だろうか。

そんなこと言われて、「NO」と言えると思っているの?


嬉しさが込み上げてしまい我慢できず、彼の胸の中に飛び込んだ。

「うわっ!?」

私が抱き着くことを想定していなかった彼と一緒に、地面に倒れていく。


けれど専務はしっかり私の背中に腕を回してくれて、それがまた胸を熱くさせた。


「いいに決まっています。……なってください。私だけのたったひとりのヒーローに」

顔を上げ専務に伝えると、彼は目を見開きハニかんだ後、いつもの大好きな笑顔を向けてくれたんだ。
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