愛しの残念眼鏡王子
「キャー! おめでとう専務!」

「やったな光希ちゃん! 娘が嫁に行く時と同じくらい嬉しいよ」

「社長、よかったですね! 専務にお嫁さんが来ますよ」



「――え、えっ!?」

どこから沸いて出てきたのか、あっという間にみんなに私と専務は囲まれてしまった。


「まぁ、専務らしい残念なプロポーズでしたけどね」

松田さんの声にハッと我に返り、専務の上から飛び退いた。

専務も照れ臭そうに、ゆっくりと起き上がる。


これはさっきの一部始終を皆さんに見られていたってことだよね?

うわぁ、どうしよう恥ずかしい!

だって私、自分から専務に抱き着いちゃったし!!


思い出しひとりテンパっていると、社長と副社長が歩み寄ってきた。

「光希ちゃん、うちの子を好きになてくれてありがとう」

「まだまだ未熟な息子だからこそ、光希ちゃんがきてくれて私たちも嬉しいよ」


社長……副社長……。

また涙が溢れそうになる。

お礼を言いたいのは私の方だから。
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