愛しの残念眼鏡王子
私が一生涯の最後に好きになった人は、優しくて笑顔が可愛い人。

けれど、男性版ドジッ子でちょっと残念な一面もある。

おまけに鈍感だし、抜けているところもある。



半年後――。

「無事に届きますよーに!!」


ポストに結婚式の招待状を投函すると、まるで神頼みするように両手を合わせる彼に、思わず笑ってしまった。


「一郎さん、そんなにお願いしなくても無事に郵便さんが届けてくれますよ」

「いや、それはそうかもしれないけどさ。……送った相手が相手だし」


さっき一郎さんが投函した招待状の送り先は、彼がプロポーズした相手。

漢字は違うけど、私と同じ名前の彼女だ。


幸せになった自分を見て欲しいから、招待してもいいかな? って聞かれた時は、実に一郎さんらしくて笑ってしまった。


手を繋いで自宅へと戻る途中、一郎さんに聞いてみた。

「なにかメッセージを書いたんですか?」って。

そうしたら実に彼らしい答えが返ってきたんだ。

「小野寺さんへ、是非、神さんとご出席してくださいって書いただけだよ」と。
< 108 / 111 >

この作品をシェア

pagetop