愛しの残念眼鏡王子
そう思っていても止められそうにない。

口元を押さえていても、笑い声は出てしまった。


「アハハッ……! だめじゃないですか、専務」

「え――えっ!?」

突然笑い出した私に、専務は状況を理解していない様子。

そんな専務にたまらず言ってしまった。


「だめじゃないですか、私に言ったこと全部内緒にしなくちゃ、いけないことじゃないんですか?」

「え…………あっ!!」


やっとすべてぶちまけてしまったことに気づいたのか、途端に専務の顔は青ざめていく。

それがまた可笑しくて、笑いを堪えるのに必死になってしまう。


でもそっか、そうだよね。

毎回誘われても参加しないってなったら、みんな疑問に思って当たり前だよね。


それで専務に謎解明の矛先が向かったってわけだ。……まぁ、半分はいつもの如く、皆さんの私と専務をからかうための、面白半分なのかもしれないけど。


けれどいまだに慌てふためく専務に、申し訳なくなってしまう。
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