愛しの残念眼鏡王子
「すみません、なんか専務に嫌な役目がいってしまったみたいで……」

「え?」

「嫌な役目ですよね」


きっと専務のことだ。
みんなに押し切られて断れなかったんだろうな。

その情景が、いとも簡単に思い浮かんでしまう。


苦笑いしてしまっていると、なぜか専務は慌てて首を左右に振った。

「いや、違うからね! 俺は決してみんなに頼まれたから、こうして香川さんの後を追ってきたわけじゃないから!」

「……え」


驚いてしまうと、専務は必死に弁解してきた。

「あ、いや。その頼まれたってことも理由のひとつだけど! ……でも俺は、香川さんのことが心配だったから」

「専務……」


眼鏡の奥に見える真剣な瞳に、胸がトクンと鳴る。

「飲み会に来ないのは、なにか理由があるのかなって思って。……もしかして俺とのことでからかわれるの、嫌だからかなって。だとしたら申し訳なくて……」
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