愛しの残念眼鏡王子
次第に声が小さくなっていく専務に、私は声を上げた。

「違います! 私が飲み会に参加しない理由は」

「――え」


声を荒げた私を専務は、キョトンとした顔で見つめてくる。

その瞳から逃れるように下を向き、言葉を続ける。


「確かにちょっぴり、皆さんに専務とのことでからかわれることに困っています」

「だ、だよね」

必死になりすぎて思わず本音を漏らしてしまったことに、言った後に気づく。


あぁ、私ってばなにを言ってしまっているのだろうか。

専務がいけないんだ。

あまりに落ち込んだ姿を見せるから……!


自分に言い訳してしまうほど余裕がなくなっていく。

でもまだ肝心なことを伝えていない。


「ですが、私が飲み会に参加しない理由とは、関係ありませんから!」

大きな声できっぱり伝えると、専務はしばらくの間、瞬きを繰り返す。
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