愛しの残念眼鏡王子
営業部の部長は、社内でも仕事がデキると有名で出世街道を、突き進んでいる。

そんな部長の娘さんと結婚となると、彼の将来も約束されたもの。


彼には光輝く未来が待っているのに、私には来月から住む家さえない。

これからの未来が不安でしかない。


言われるがまま別れちゃったけど、時間が経てば経つほど後悔するばかりだった。


彼は私との未来は考えられないと思ったかもしれないけど、私は違った。

彼との未来をしっかり見据えられていた。

好きだった。好きだったから、次第に自分の本音を言えなくなっていった。


言ったらもっと関係がぎくしゃくしちゃいそうだったから。

本音を伝えず、彼の話を聞くことも避けていたんだ。


それが結果、別れに繋がったんだと思う。
ちゃんと気持ちを繋ぎとめる努力をしなかったから。


どうして彼が、私との未来を考えられなくなってしまったのか、聞くこともしなかった。

彼がいなくなった部屋で何度思っただろうか。
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