愛しの残念眼鏡王子
屈託のない眩しい笑顔が、堪らなく好きって思ってしまったから。


「だから香川さんにも、いつかこの青空を見せたかったんだ! その夢が叶って嬉しい……よ」


専務の横顔をドキドキしながら見つめてしまっていると、不意に彼が横を向いたものだから、ばっちり至近距離で目が合ってしまった。

途端に彼は目を見開き、勢いよく起き上がった。


「ごっ、ごめんっ!!」

「い、いいえ……」

耳まで真っ赤に染める専務に、私までたちまち顔が熱くなってしまい、慌てて起き上がった。


気まずい雰囲気が流れる中、専務は視線を忙しなく泳がせる。

「そのっ……すっ、少しは気が晴れたかな!?」

「はい、あの……、ありがとうございました」


伝染するかのように、私までしどろもどろになってしまう。


「それならよかった。でもごめんね、無理やり横にさせちゃって。あぁ、背中や髪に芝生がついちゃっている」

そう言うと専務は手を伸ばし、私の背中や髪についている芝生を落としてくれた。
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