愛しの残念眼鏡王子
聞いてきた彼に首を横に振ると、また一生懸命取ろうとするものの……やっぱり取れていない。
「違います、専務こっちです」
堪らず手を伸ばし、彼の髪に触れて取った瞬間、専務はオーバーに後ろに後退りした。
その様子に私は取った芝生を手にしたまま、目を瞬かせてしまう。
すると専務は必死に平静を装い始めた。
「ごっ、ごめん! 急に取り乱したりしちゃって!! えっと、その……! 営業いってきます!」
声高らかに宣言すると、専務は私を残してひた走っていく。
そんな彼の背中を私は呆然と見つめてしまっていた。
専務のことが好き。
気づいてしまった自分の気持ち。
けれど専務にとって私はただの部下。
だから優しくしてくれているだけだろうし、さっき話していたように、自分と同じ境遇かもしれない私のことを、気に掛けてくれているだけだと思っていたけど……。
「違います、専務こっちです」
堪らず手を伸ばし、彼の髪に触れて取った瞬間、専務はオーバーに後ろに後退りした。
その様子に私は取った芝生を手にしたまま、目を瞬かせてしまう。
すると専務は必死に平静を装い始めた。
「ごっ、ごめん! 急に取り乱したりしちゃって!! えっと、その……! 営業いってきます!」
声高らかに宣言すると、専務は私を残してひた走っていく。
そんな彼の背中を私は呆然と見つめてしまっていた。
専務のことが好き。
気づいてしまった自分の気持ち。
けれど専務にとって私はただの部下。
だから優しくしてくれているだけだろうし、さっき話していたように、自分と同じ境遇かもしれない私のことを、気に掛けてくれているだけだと思っていたけど……。