愛しの残念眼鏡王子
好きな人の恋愛事情
「ユウ、見て。空があんなに綺麗」

「ワンッ！」


休日の昼下がり、ユウの散歩でやって来たのはあの日の、川沿いにある河川敷。

たくさん遊んだ後、ユウと一緒に芝生の上に横になっていた。



私がこの場所に移り住んでから、半年が過ぎようとしていた。

ここでの生活にすっかり慣れ、毎日充実している。

ユウにとっても、ここでの生活は快適なようだ。


思いっきり走り回れる広場があるし、ストレスなく暮らしていける。

なんとなくで選んだ土地だったけれど、私にとってもユウにとっても、ここに引っ越してきて正解だったと思う。


ゆっくりと横になると、あの日と変わらない青空が視界いっぱいに広がる。

東京には嫌な思い出しかなくて、今でも思い出すと胸が痛んでしまうことがある。

でも、そのたびに専務の言葉が脳裏に浮かぶんだ。


『気持ちが軽くなるんだ。……大丈夫、まだ頑張れるって思える』

この言葉が心に残って離れない。
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