愛しの残念眼鏡王子
できるものなら専務にだけ特別に麦茶を作って出してあげたいけど……そんなことをした日には、永遠とみんなにからかわれてしまうことが、目に見えているからできるわけがない。


沸かしたお湯をポットに入れ、湯呑と急須をかごに入れて、専務と共に事務所を後にしていく。


専務のことが好きだけど、告白して自分の気持ちを知ってもらいたい。私のことを好きになって欲しい。付き合いたい……と、今は望んでいない。


そばにいるだけで幸せで、こうやって話をすることができるだけで、自然と心は満たされていくから。


今まで、人並みに恋愛をしてきた。

元カレ以外とも付き合った経験はあるし、決してこれが初めての恋愛ではない。

それなのに、専務に抱く感情はまるで初恋のような感覚だ。


感じる気持ち全てがみずみずしくて、学生の時のような気持ちを思い出させられる。

例えば目が合っただけで嬉しくなったり、相手も自分のことを見ていたのかもしれないと思っちゃったり。


専務の言動に一喜一憂したり、それはまるで学生がするような恋愛。

相手が不器用な性格の専務だから?

だからこんなにも、胸をときめかされることばかりなのかな?
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