愛しの残念眼鏡王子
そんな日々に不満などなく、今は専務との今の関係を大切にしたいと思っていた。

そばにいて、こうやって話をできれば満足だから。

「あ、もうみんな休憩しているみたいだね」

「そうですね」


向かう先の工場からは、いつも聞こえてくるはずの機械の音が響いてこない。

ということは、既にみんな休憩に入っているということ。

自然と私と専務の歩くスピードも早くなっていく。


近づくにつれて聞こえてきたのは、みんなの陽気な話し声。

やはりみんな、既に休憩に入っているようだ。


「しかし、専務と光希ちゃんには、なにか強い運命みたいなものを感じるよな」


そのまま工場の中に入ろうとしたけれど、ふと聞こえてきた話に私と専務の足は止まってしまった。

なんせ内容は私と専務の話だったのだから。


どちらからともなく、目を合わせ苦笑いしてしまう。

きっとまたいつもの話。

私と専務をネタに楽しんでいるに違いない。――そう、思っていたんだけど……。
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