愛しの残念眼鏡王子
「もし……もしユウに何かあったら私……っ」

言葉が詰まってしまった瞬間、専務は再び私の両肩をガッチリと掴んだ。


驚き身体はビクッと反応してしまう。

そんな私に専務は力強い眼差しと声で言った。


「香川さんしっかりして! 大丈夫だから、絶対見つかるから」

「専務……」


びっくりして涙も止まってしまった私の肩を、専務はゆっくりと離していった。

「香川さんが飼っている犬なら、賢いはずでしょ? 絶対大丈夫。俺も一緒に探すから」


安心させるようにふわりと微笑んだ専務に、止まった涙が零れた。

「ほら、泣かないで。早く探そう」

「……は、い」


どうして専務はこんなに優しいのかな? だって私、この間専務に酷いことを言っちゃったのに。

「二手に分かれて探そう。見つけたら連絡するから。えっと写真とかあるなら送ってもらえる?」


言われるがまま専務にユウの写メを送り、二手に分かれて探し始めた。
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