愛しの残念眼鏡王子
「いや~、俺……昔から犬や猫になぜか嫌われちゃうこと、すっかり忘れていたよ」

「え?」

っていうことはまさか専務が全身ボロボロなのって……。


チラリとユウを見ると、あからさまに専務に対して敵対心剥き出し状態。

間違いない、ユウのせいだ。


「すみませんでした! ユウがやったんですよね?」

慌てて頭を下げると、すぐに「顔を上げて」と余裕のない声が聞こえてきた。


「大丈夫、つかまえる時、ちょっと抵抗されちゃっただけだから。それよりよかったよ、無事に見つかって」

「だから気にしないで」と言っていつものように笑う専務に、胸が締めつけられていく。

それと同時に強く思ってしまった。

やっぱり私、専務のことが好きだなって。


「ユウくん、心細かったんだと思う。電柱の影で震えていたから。……それなのに見知らぬ俺が来てつかまえようとしたら、抵抗されて当たり前だしね」

「専務……」
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