愛しの残念眼鏡王子
ちょっぴり残念な? プロポーズ
「ありがとうございました、重いから気をつけてね」

「はい、ありがとうございます」


商店街の酒屋で大量のアルコールを買い外に出ると、夕方になるというのにまだ蒸し暑い。

「お待たせユウ。行こうか」

外で待たせていたユウに声を掛けると、嬉しそうに尻尾を振り始めた。


きつく結んでおいたリードを解き、ユウと一緒に向かう先は専務の自宅。



月日は流れ、私がこの町に来て一年以上が過ぎた。

ここでの生活は快適で、人情味溢れるこの町が大好きだ。

商店街を抜けて行くと、見えてきた職場。

この先に専務の自宅がある。


少しずつ自分を変えていき、今では毎月のように開催されている、専務の家での飲み会にも参加している。

最初はドキドキしてしまってけれど、今では次の開催日が待ち遠しいほど。


飲み会の席で出会った彼のことを思い出しそうで怖かったけれど、そんなことは一度もなかった。

きっとそれは、今私は専務に恋しているからかもしれないけど。
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