3ヶ月だけのママ~友達が妊娠した17才の夏~
第9話「初体験」
 千奈美を送り届けて家に帰った私は、家で携帯電話をいじっていた。

 今日のことで、いろいろ気になったことがあったから。

『アフターピル』
『中絶 初期 中期』
『デート DV レイプ』
 そんな単語でインターネットの検索をかける。

 検索をしていると、いろいろなサイトに辿り着いた。
 所詮、インターネットだから真偽も定かじゃないような情報も多い。

 啓子が避妊じゃないって言った外出しで、妊娠しないって書いてるサイトもあった。
 千奈美はそれで妊娠したのにね。

 サイトを見ていると、自然といろんな広告が目に入った。

 ティーンズラブの電子漫画の広告とか、男性向けのえっちな広告とか。
 漫画じゃない、もっとアダルトな広告まで出てくる。

 なんて過激なんだろう。

 ティーンズラブでも無理ちゅーとか、女の子の意思に反してちょっと乱暴にセックスする描写はある。
 好きだから止められないとか、両思いなんだからとかっていっても、レイプはレイプだよなって今ようやく気がついた。

 千奈美はそれで傷ついて、妊娠したし、もしかしたら病気も。

 ファンタジーな妄想としてならいいのかもしれないけど、リアルならあり得ない。
 ぞっとする。

 痴漢のネットニュースのコメントに、女の方が悪いと書かれているのを見たことがあった。
 女の方が誘ってるとか、芸人が笑いにするような妄想を本当に信じ込んでいる。
 犯人も、周囲も。

 痴漢かと思って捕まえたら恋人同士だったけど、どう見ても女の子は嫌がってたって話も聞いたことがある。
 そのカップルも、千奈美と夏樹くんみたいだったのかな。

 女性専用車両に乗る人は、座りたいからとか痴漢に遭わないようにだけじゃない。
 過去に被害に遭ってPTSDとかトラウマになってしまった人が、その車両ならなんとか乗れるってこともある。

 レイプ、セカンドレイプ、デートレイプ。
 本当に泣き寝入りしてしまっている女の子たちはどれだけいるんだろう。
 千奈美みたいな子が、どれだけいるんだろう。

 レイプをするのは、なにも異性ばかりじゃない。
 被害者を更に追い詰める言動のセカンドレイプは、同性だって起こす。

 教室でのえっちな話も、本当に嫌な子にはセクハラだったのかも。
 私も気をつけなきゃ。

 イヤだってはっきり言わないのが悪いだなんて思わずに、ちゃんと相手の気持ちを思いやろう。
 そうしないと、男性不信どころか人間不信になりそうだった。

 中絶した啓子。
 避妊しなかった千奈美。
 それを批判して責め立てて傷に塩を摩り込んだって、起きてしまった事実は変わらない。

 これからどうすればいいのか、考えよう。

 でも、私はしょせん他人。
 私にとやかく言う資格なんてないし、言えばそれはただの自己満足なのかもしれない。

 そう分かっていても、私は自分を止められなかった。
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