乙女ちゃん
乙女ちゃん
「こんにちは。
隣に引っ越してきました澤野です」

チャイムの音にドアを開けると、眼鏡のイケメンが立っていた。

「これ、よろしかったら」

「あ、はい。ご丁寧に」

ぼーっと顔に見とれてたら、菓子折りを差し出されて慌てて受け取る。

「ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願い、します」

イケメン——澤野さんはとても丁寧な人でびっくりした。

……いまどき、こんな人いるんだ。
しかもイケメン。
なんだかちょっと、得した気分?
 

翌日。
出社すると課長補佐の席にどこかでみた顔の人間がいた。

……えっと。
誰だっけ?

必死で思い出そうとしている間に朝礼が始まる。
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop