料理音痴
……しかし。
坂下にとって私はなんなんだろう。

ベッドの中で目覚めてしまったあの日以降、そういうことはない。

部屋に行っても、ごはんを食べさせてくれて、デザートまでそのあと食べて。

極々たまに、借りてきたDVDなんか見て。

はい、さようなら、だ。

坂下から見ると私は、その、……女じゃないんだろうか。

料理すら、できないし。

そんなことを考えると悲しくなってくる。

「……いただきます」

「……」
 
ちょっとだけいじけた気分でテーブルにつくと、坂下が心配そうに私の顔をのぞき込んだ。

「なんでもない、から。
ほら、たべよ?
やっぱ夏はそうめんだよね」
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