イジワルな彼とネガティブ彼女
開いた扉の正面に立っていたのは、今朝会った、というか、笑われたイケメンだった。


「すごい偶然だな。


歯医者を紹介するって言ったのに、だいじょうぶなのか?」


「結構です」


そのまま乗って降りようとしたら、


「プレゼンどうだった?」


ニヤニヤしながら、一番ふれてほしくない部分にズケズケ土足で入ってきた。


「・・・無理だと思います」


「まだわかんねーじゃん、あきらめんなよ」


励ましてんだか、イヤミ言ってんだか。


「とりあえず、お詫びしたいから、必ず連絡しろ」


と言って、何かメモしたあとに名刺を渡してきた。


社会人としてなら、名刺を拒絶するなんてあり得ないけど。


「結構です」


もう一度キッパリ断って、エレベーターに乗りこもうとした。






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