イジワルな彼とネガティブ彼女
両親は数年前まで都内のマンションで暮らしていて、父と私はそこから通勤していた。


だけど、父が早期退職したのをきっかけに、母がずっと熱望していた鎌倉暮らしを始めた。


鎌倉の中古戸建ては周囲を緑に囲まれた静かすぎる場所にあり、私も数ヶ月はそこから都内まで通勤していたのだけれど、やっぱり時間がかかって大変だった。


その頃、会社が福利厚生の一環として、会社の近くに住めば家賃を補助してくれることになり、私は引っ越すことになった。


会社にはほぼ自転車で通い、睡眠時間も確保できるし、部屋は狭いけど満足していた。


私の一人暮らしを両親がよく許してくれたと思うけど、婚期が遅れそうな娘を案じて、一人暮らしの方がいいだろうと考えたみたい。


ところが実際は、両親の期待とは正反対で、オトコ未経験のまま29歳を迎えてしまった。



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