イジワルな彼とネガティブ彼女
「高橋さんの知り合い、すごいイケメンですね」


「べつに知り合いじゃないの」


なんとなく、名刺を見返してみた。


本田楓・・・『かえで』なんて、珍しい名前。


「そういえば、歯医者とか言ってましたけど、もしかして高橋さん、怪我したんじゃないですか?」


「そんなことないよ、平気だから」


「高橋さん、もうコンビ組むようになって2年近くたつんですから、僕には何でも話していいですよ」


「ありがとう、だいじょうぶだよ」



足立くんは、2つ年下の27歳。


いつも冷静で、細かいことによく気がついて、優しくて。


イマドキの、草食男子だ。


「じゃ、部長に怒られるの覚悟で帰ろうか」


「高橋さん、一緒にランチどうですか?」


・・・いやいや、今日は人前でマスク取れないから。


「ごめんね、今日はそういう気分じゃないから、また今度」


「・・・わかりました」



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