イジワルな彼とネガティブ彼女
「翼くん、わざわざ来てくれてありがとう」


「いえ、河村さんに住所教えてもらって。


これ、とりあえず簡単に食べられそうなもの、買ってきました。


仕事のことは気にしないで、ゆっくり休んでください」


「ごめんね、あと、本田さんのことだけど・・・」


私が説明しようとしたのに、本田さんが割りこんできた。


「土曜に俺が駅で倒れた高橋を偶然みかけて家まで連れて行って、日曜に病院へ付き添って、それから今まで看病してるだけ」


「どうして本田さんが莉子さんの家を知ってるんですか?」


「あー、ワインバー行った時と、この前ドライブした時に送ったから」


・・・待ってよ。


私、翼くんにそのこと何にも話してないのに。


「莉子さん、どうして?」


「・・・翼くん、ごめん」


「なんか俺、邪魔者ですね。


莉子さん、25日に会社で待ってますから」


そう言うと、翼くんは一度も振り返らずに部屋を出ていった。





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