イジワルな彼とネガティブ彼女
「着いたぞ」


車が停まったのは、海沿いの埠頭だった。


対岸の工場の灯りが、クリスマスのイルミネーションみたいだ。


「この車を買って、初めてドライブして、たまたまここを見つけたんだ。


いつか大切な人ができたら、連れてこようって思ってた」


「そうやって、いろんな女の人を口説いてきたんですね」


「確かに、この車に乗った女は、おまえが初めてじゃない。


だけど、この場所に連れてきたのは、おまえが初めてだからな」


「そんなの、どうやって信じろっていうんですか?」


「証明できるものは、ないな。


けど、俺は本気で、おまえが好きだ」


「へっ?」


あまりにも驚いて、雰囲気をぶちこわす声が出てしまった。


次の瞬間、本田さんは私にキスをした。


「莉子が好きだ」


「・・・な、なんでですか」













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