イジワルな彼とネガティブ彼女
そう言うと、何もなかったかのように車を発車させた。


このままじゃヤバイ、ここでくい止めないと。


「あの、急に名前で呼ぶとか、やめてください」


「好きな子は、ちゃんと名前で呼ぶ主義なんだよ」


「私の気持ちはどうなるんですか?」


「どうって、俺のこと好きにさせればいいんだろ」


「さすが、イケメンは言うことが違いますね」


「莉子だって、俺のこと少し気になってるから、今日来たんだろ。


何とも思ってなければ来ないじゃん」


・・・うっ、否定できない。


よくわからないけど、確かに『行かない』っていう選択肢はなかった。


「ほらな」


「・・・すみません」


なぜか、謝ってしまった。


そして車は、本田さんの住むタワーマンションの地下駐車場に入っていった。


「エレベーターこっちだから」


「はい」


本田さんは『20』のボタンを押した。


どうしよう、緊張してきた。













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