イジワルな彼とネガティブ彼女
「お待たせ」


テーブルに、ムニエルとサラダとグラタン、そしてワインが並んだ。


これをきっちり10分で作るなんて。


「いただきます。


・・・うわ、すんごくおいしいです」


「まあな」


本田さんは得意気な顔でワインをついでくれた。


料理もおいしくて話も楽しくて、ワインもすすんで。


この時私は、翼くんの存在を忘れてしまっていた。



食べ終わって、志願して後片づけを手伝って。


もう何もすることがなくなってしまった。


「あの、今日はありがとうございました。


快気祝いとして、受け取っておきます」


帰ろうとコートを取ろうとしたら、


「帰さねーよ」


ギュッと、だけど優しく、抱きしめられた。


「俺だけの莉子になれよ」


とけてしまいそうな言葉に、体がしびれて動けなくなってしまう。


そのままソファーに倒されて、何度も何度もキスされた。













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