イジワルな彼とネガティブ彼女
「おはようございます」


フロアには誰もいないと思ったけど、一応声をかけてみた。


「おはようございます」


声の主は、翼くんだった。


よりによって、いま一番会いたくない相手なのに。


「足立くん、いろいろありがとうね。


ずいぶん早いね、何かあった?」


「いえ、今日は高橋さんが出社されるので、やり残したことがないか確認しようと思ったので。


・・・っていうのは建前で、高橋さんは早く来るだろうから、ふたりで話せると思ったからです」


「そうだよね、ちゃんと話さないとね」


「高橋さん、昨日は何してましたか?」


「あっ、昨日はその、えーっと・・・」


「わかってて聞いたんです。


嘘つくよりいいですけど、ごまかすの下手ですね。


そういうとこが好きだったけど」


「足立くんは悪くないんだ、なんていうか、私が流されちゃったっていうか」








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