イジワルな彼とネガティブ彼女
「えっ、だって、本田さん年上ですし・・・」


「莉子って、ほんとおもしれーな。


俺たちはもう、特別な関係だろ。


敬語とか使わなくていいってこと」


「はい、あ・・・うん」


しばらくは慣れそうにないなあ。


「俺の呼び方も考えろよな」


あ、また『呼び方問題』が勃発しちゃった。


「えーと、それはおいおい」


「まあいっか、腹は減ってない?」


「うん、たくさん食べちゃったから」


「なに食べたんだ?」


「ちゃんこ鍋」


「いいなそれ、うまそう」


「元力士の方がやってるお店で、おいしかったな」


なんて、お互いの今日の出来事を話しながら、ワインやグラスを並べた。


でも、頭の片隅では、さっきの『呼び方問題』がグルグルしてる。


・・・『本田さん』はダメだよね、かといって『楓』って呼びすてにはできないし、『楓くん』?


いやいや、それはないない、じゃあ、『楓さん』?




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