イジワルな彼とネガティブ彼女
そして、翌日から休みになり。


楓さんは、友達と一緒にイギリスへ旅立つ日。


出発が午後便だったから、午前中に楓さんのマンションへ行った。


「莉子、おはよ」


「おはよう」


「コーヒー飲むか?」


「うん、あ、私やるよ」


「ごめんな、せっかくの休みなのに」


「気にしないで、前から決まってたことだし」


「莉子はさみしくないのかよ」


「それって、楓さんはさみしがってるってこと?」


「さみしいって思っちゃいけないのかよ」


「いえいえ、さみしいって思ってくれて嬉しいです」


「莉子」


なあに、って言おうとして振り向いたら、ギュッって抱きしめられた。


「好きだ」


その一言に、楓さんの想いがこめられている気がして、幸せだった。


「私も、楓さんが好き」




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