イジワルな彼とネガティブ彼女
会議室で資料の整理をしながら足立くんを待っていると、


「失礼します」


と、足立くんが入ってきた。


「お時間いただいて、ありがとうございます」


「いえいえ、で、急ぎの案件って?」


「これです」


渡された封筒を開くと、映画のチケットが2枚入っていた。


「これって・・・前、私が観たいって言ってたのだよね」


「そうです」


「あの、仕事には関係ないんじゃないかな」


「関係あります」


「この映画に文具なんて出てこないはずだけど?」


「最近の高橋さん、ずっと上の空で仕事してますよね。


本田さんのことで悩んでるのはわかりますけど、仕事に支障が出るのは困るんです」


「・・・すみません、でも、本田さんのことは関係ないから」


「本田さんとまだ話してないんですよね?


ちゃんと話してから、俺と一緒にこの映画観に行ってください」


「えっ、ちょっと待って、それってどういう・・・」



< 213 / 235 >

この作品をシェア

pagetop