イジワルな彼とネガティブ彼女
「本田さん、これは僕の憶測かもしれないですけど。


本田さんはたぶん、だいぶ前から合併のことを知ってたんだと思います。


だけど、高橋さんに伝えたくても、言えない事情があったんじゃないでしょうか。


展示会の準備も重なって、会えない日々が続いて、よけいに誤解されてしまったのではないかと」


「さすが足立くん、いい勘してるな。


だいたい合ってるよ」


「ありがとうございます」


なんなのいったい、いつのまに二人は仲良くなったわけ?


「でも、僕が本田さんの立場だったら、高橋さんにもっと早く伝えるし、なにがなんでも会う時間をつくりますけどね」


「夜中でも会えるなら、そうしてたけどな」


その時、急に思い出した。


展示会の前に、楓さんが突然会いに来てくれた時のことを。


私は連日の残業で疲れてて、でも一緒にいたかったのに意地を張って、休みたいって断った。


本当は、すぐにでもさらってほしかったのに。


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