イジワルな彼とネガティブ彼女
「おはようございます」


会社の裏手に自転車を停めていたら、足立くんがわざわざ来て、声をかけてきてくれた。


「おはよう、昨日は、えっと、その・・・ありがとう」


「その様子だと、うまくいったんですね」


「おかげさまで」


「今度なんかおごってください」


「うん、いいよ」


「冗談ですよ、そんなことしたら本田さんに殴られます」


「殴らないと思うよ?」


「でも、機会があれば本田さんにおごってもらいます」


「伝えとくね」


「高橋さん、今日は一段とかわいいですね」


「え?」


歯の浮くようなセリフを残し、足立くんはエレベーターホールへ向かっていった。


その日のお昼、美和とパスタを食べながら、昨日の出来事を説明した。


「結局、おさまるとこにおさまった、って感じだね」


「ご心配をおかけしました」


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