イジワルな彼とネガティブ彼女
「莉子、おなかさわらせて」


「うんいいよ、今ちょうど動いてる」


楓さんの大きくて優しい手のひらが、私のおなかにふれる。


「男だから、俺と莉子の取り合いになるよなあ」


「それ、本気で言ってるの?」


「本気に決まってんだろ。


まあ、オッパイはこいつに優先権があるけど、俺だって・・・」


「あー、今の言葉録音したいから、もう一回言って」


「ぜってー言わねー」


「この家で二人だけで過ごすのも、あと少しだね」


「だいぶ物が増えてきたし、実感が少しずつわいてきた感じがする」


「でも、楓さんが車まで変えるとは思わなかったな」


「子どもがいる先輩に聞いたら、絶対にスライドドアの方が楽だっていうから」


確かに、前の外車だと乗り降りが大変そうだ。




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