イジワルな彼とネガティブ彼女
「・・・ブッ」


吹き出したあと、耐えきれなかったのか、大笑いされた。


「おまえ、おもしろいな」


「おもしろいことなんて、何も言ってませんけど」


「被害妄想がひどすぎて、おもしれー」


ひとしきり笑ったあと、急に真顔になって、しゃべりだした。


「譲ったんじゃなくて、薦めたんだ。


おまえの会社の商材の方が、カラーが多くて価格も安かったし。


別に、おまえと知り合っていなくても、俺はそうしたよ」


急に真面目な顔をして言うから、さっきまでわめいていた自分が恥ずかしくなって、何も言えなくなってしまった。


「なんだよ、もう降参かよ」


「いえ、失礼なことを言ってすみませんでした」


ペコリと頭をさげて、その場を離れようとしたら、


「なあ、薦められたって知っても悔しいんだったら、2月の展示会で勝負しようぜ」


上から目線のセリフが聞こえた。






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