イジワルな彼とネガティブ彼女
「あー、だいじょうぶ?」


私の頭上で、男性の声がする。


「ごめん、開けるタイミングが悪かったよな」


だいじょうぶです、って言いたいけど、すぐには動けない。


それに、口の中を切ったのか、血の味がする。


「飛んでたもんな、痛いよな・・・」


なんか、軽いな、この人。


その時、プレゼン資料のことを急に思い出した。


「し、資料を・・・」


おそるおそる手を動かし、体を起こそうとした。


その時、力強い腕が、私を支えてくれた。


がっしりした、男の人の腕。


こんな風に、抱きかかえられたの、初めてだな。


なんとか上半身だけ起こし、手探りで資料をかき集める。


座りこんだまま、全部揃っているか確かめた。


よかった、全部あった。


「すみません、ありがとうございます」


顔をあげて、男性の顔を見上げた。


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