イジワルな彼とネガティブ彼女
美和には嘘をつけないから、本田さんに歯医者を紹介してもらったことから、ワインバーに行ってタクシーで送ってもらったことまで説明した。


「なーんだ、莉子は本田さんとうまくいってるから、足立くんになびかないんだね」


「ちがうちがう、本田さんとは何もないから」


「じゃあ、足立くんとつきあっちゃえばいいじゃん」


「もう、美和は私で楽しんでるだけでしょ」


「私は莉子が心配なの。


莉子には、幸せな恋愛があるってことを、知ってほしいから」


「恋愛って、しなきゃいけないものじゃないし・・・」


「そうだよ、恋愛は義務じゃない。


だけど、恋愛したくなくても、気づかないうちに誰かを好きになることはあるんだよ。


莉子は今、誰かを好きになりかけてるんじゃないかなー」


29年、誰ともつきあったことがない私を、好きになる人なんていないと思う。


だから、一生ひとりでもさみしくない。


私は、そう決めたんだ。




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