イジワルな彼とネガティブ彼女
「美和が心配してくれてるのはわかったけど、でも、また同じように傷つくのはどうしてもイヤだから」


「じゃあさ、莉子を好きで好きでしょうがない人を選べばいいじゃん。


足立くんはぴったりだと思うよ。


自分を好きになってくれる人を選ぶのも、幸せの形だって」


「でも、好きでもない人と一緒にいるって、変じゃない?


それに私は、一般的に好かれるタイプじゃないし」


美和は、ハーッと大げさなため息をついて、私を軽くにらんだ。


「あのさ、莉子はかわいいよ。


言ってなかったけど、社内の人から『莉子を紹介して』って頼まれたこと何度もあるからね。


莉子の事情を知ってたから、テキトーに断ったけど」


「嘘までついて励まさなくていいよ」


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