イジワルな彼とネガティブ彼女
「まさか、俺の名前を知らないとかないよね?」


「そんなことないよ、足立・・・翼くんでしょ」


「翼、って呼んで」


「呼び捨ては、ちょっと・・・」


「じゃあ、俺の真似して」


「は、はい」


「つ」


「・・・つ」


「ば」


「・・・ば」


「さ」


「・・・さ」


「ほら、言えるじゃん」


言えたけど、でもかなり恥ずかしい。


「翼くん、でもいい?」


「いいよ」


ふう、呼び方問題はクリアした。


足立くん、じゃなくて、翼くんは、ようやく抱きしめてた腕をほどいて、コーヒーを飲んでる。


横顔を盗み見ると、ほんと今時の優しい顔だ。


性格の良さが、顔に出てる。


今までも、モテてたんだろうな・・・


「莉子さん、俺の顔になんかついてる?」


「ちがうちがう、えっと、その、かっこいいなぁって、モテるはずなのに、どうして私なんか選んだんだろうって思って」






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